2015年度版 TACE不応の定義を考える

監修のことば

村上 卓道 先生

村上 卓道先生
近畿大学医学部
放射線医学教室
放射線診断学部門 主任教授

TACE不応の定義(2015年改訂版)

  1. 肝内病変
    1. TACE 施行1-3 ヵ月後の治療効果判定のCT/MRIにて、治療結節の造影効果(50%以上)が残存する場合が2回以上続く(薬剤変更、選択血管の再検討を含んで計2回以上)
    2. TACE 施行1-3 ヵ月後の治療効果判定のCT/MRIにて、前回TACE 施行時よりも肝内腫瘍個数が増加している場合が2回以上続く(薬剤変更、選択血管の再検討を含んで計2回以上)
  2. 腫瘍マーカー
    TACE 施行直後、腫瘍マーカーが低下しないか、たとえ低下してもわずか、かつ一過性で、すぐに上昇傾向が続く
  3. 脈管浸潤の出現
  4. 遠隔転移の出現

TACEはIntermediate StageにおけるHCCの標準治療である。しかしながらTACEは繰り返されるうち、あるポイントでTACEが効かなくなってくる、いわゆるTACE不応という状態になる症例がある事が知られている。このような症例では、適切なタイミングで次治療に切り替える事が結果的に患者の肝予備能の低下を抑え、予後を改善すると考えられる。このようにTACEが不応・不能となったポイントを早期に気付く事は重要で、日本肝臓病学会の2010年の肝癌診療マニュアルにおいてTACE不応・不能の定義が提唱されることになった。更に2014年には、このTACE不応の定義は一部改訂がなされた。改訂された部分は主にリピオドールの沈着具合に関しての記述が無くなった事や、肝内再発に関しての記述がより具体的になった点等で、この改訂の理由には日本のTACEにDEB(Drug Eluting Beads)という新たな手法が加わった事が関係しているものと考えられる。

DEB-TACEに関しては、欧米では古くから取り入れられていた手法で、BCLC stage B(IntermediateStage)での標準治療となっているが、国内では以前から施行されているC-TACE(Conventional TACE)と比べ、その効果および安全性についてはまだまだ未知の部分も多く、今後、国内実臨床での多くの使用経験や報告が待たれるところでもある。

加えて、最近新たなTACE手法のひとつとして、B-TACE(バルーン閉塞下TACE)も国内において盛んに行われるようになってきたため、以前と比べよりTACE不応のタイミングの判断やその後の後治療の選択についても複雑になってきている感は否めない。

そこで前回(2012年)に引き続き、今回も実際にTACEを多数施行されている専門の先生方に、それぞれのTACE不応に対する考えや、後治療についてお話しを伺う事を企画した。

実際に臨床の第一線でTACE治療をされている先生方が、2012年当時より治療選択肢も増え、不応の定義も改訂された現在において、どのような考えで治療をおこなっていらっしゃるか紹介する事により、当サイトを視聴される先生方の日々の臨床に参考になれば幸いである。

各先生方が考えるTACE不応の定義について

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